就活生にとって内定が決まるの期間は、学業と就職活動と、その他アルバイトなどで多忙を極める中、内定という自己に対する他者評価の指標に、否応なく同級生と競争し、また比較をされます。そのため、大きな外的ストレスに晒され、社会人経験のない学生にとっては、この上ないストレッサーと中長期的に向き合い続ける必要があります。物事が上手くいかないとき、人は焦燥感、自己喪失感を感じ、気持ちを前に向けたいのに、どうしてもネガティブな感情に心を支配されがちです。そんな時こそ、意識を外に向け、内包する気持ちを吐き出すことがとても大切であることを知っておいてください。
心理学的な観点では、カウンセリングも効果的です。定まらない進路に対して、モヤモヤした気持ちを第三者に吐き出すだけでも、不思議と気持ちはすっきりします。また、偉人や偉業を成し遂げた人の成功の陰に潜む苦悩の一面に触れることで、辛いのは自分だけじゃないことを知るのも良いでしょう。
目次
01辛いときこそ嘆かず、改善できることを考える
経営の神様と称される実業家の稲盛和夫氏は、こう述べられています。京セラの歴史の中でも、本当に厳しい不況に何回も遭遇したと。しかし、その危機をチャンスと捉えて、その危機を乗り越えるたびに、会社は一回りも二回りも大きく成長していったと。春に咲く桜の花が冬の間、寒ければ寒いほど、暖かくなったときにすばらしい花を咲かせるように。この逸話は、秋の紅葉もしかりです。赤色になる葉が色づく仕組みというのは、葉の中に含まれる赤い色素である「アントシアニン」という成分の増加によるものですが、気温が高い季節には、この生成が行われず、赤色に色づくといった現象は起きません。夜の急激な冷え込みや、適度な雨に晒されるなど、ある一定の条件を満たさないと鮮やかな彩にはなりません。
稲盛氏は、こうも述べられています。経営状況が良いときには見えなかった労使間の関係性も、景気や経営状況が悪くなったときに初めて人間の心がわかるものだと。組織は一枚岩でなければならず、経営者と従業員の間に溝があると、危機は乗り越えられません。そんな時に、それを嘆くのではなく、どう改善してくかを考えなければならないのだと。
こういったマインドは経営者や実業家だけが持つものではありません。中学生という若さで水泳競技の世界選手権代表入りを果たした池江璃花子選手が、白血病と分かったときに最初に沸き上がった思いは、「必ずもう一度スイマーとして戻ってくる。」そう思ったとのことです。辛い闘病生活の中でも、ストレスが溜まったら思いっきり泣いたり、病魔と闘う中で、短期目標を立てて、体調が悪い時には、「大丈夫、いつか終わる」と自分に言い聞かせていたそうです。
02ストレス発散には泣くことが効果的
脳科学的に、日々の辛い気持ちを乗り越える手法の一つに、想いを言葉にしたり、文字に書きだすというジャーナリングという手法がありますが、池江璃花子選手も白血病で入院した直後から日記をつけ始め、前向きな内容だったり、時には辛い気持ちまで、思いのまま自分の感情を書いていました。努力が必ず報われるかどうか分からないストレスの中、池江選手は自分独自のストレス発散方法を持っていたそうで、それが思い切り泣くということです。泣くことがストレス発散に繋がるのは一般的に良く知られている方法ですが、弱い自分もいて、心の底には「負けたくない」といった強い信念も持って、アスリートして再び、舞台に戻ってきた池江選手の心の強さに、心を打たれます。そんな池江選手はコロナ禍で血液が不足している報道を知り、自身のSNSで献血を呼びかけました。誰かが行動することで救われる命があるから、一人でも、多くの人に協力して欲しいとの想いからも、笑顔の池江選手からもたくさんのことを学び取れるはずです。
03書く瞑想、ジャーナリングについて
ジャーナリングは書く瞑想と言われています。
頭に浮かんだこと、不安に感じていることを時間制限を決めて紙に書きだすことです。
テキサス大学の社会心理学者のジェームズ・ペネベイカー教授により、調査研究が進めらた方法です。調査内容はこうです。失業者を対象にジャーナリングを実践し、その後8ヶ月間追跡調査を行うといったものです。同じような失業者でジャーナリングをしなかった人たちに比べて、ジャーナリングをした人たちは、8ヶ月後の就職率が40%も高かったことから、ジャーナリングによって心理学的指数やストレス指数が改善することを証明しました。
マインドフルネスに関する書籍や実践用の手帳が書店に並ぶようになったのは、ここ最近、2019年頃からでしょうか。マインドフルネスとは、「今この瞬間」に集中する状態を指す概念であり、近年の脳科学では「ストレス軽減」「集中力アップ」などの効果が実証されており、ストレスなど精神的な負荷がかかる場面において否定的な感情や物事に縛られないように、自分を取り戻す方法としても注目されています。
そのマインドフルネスにおいて、ジャーナリングを用いることで、自分の中にある辛い気持ちを開放することができます。
Google社が開発した脳科学とマインドフルネスに基づき開発したプログラム「SIY(SEARCH INSIDE YOURSELF)」の認定講師として、日本の企業に広くジャーナリングを広めたのが、一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート(MiLI)代表理事の荻野淳也氏です。氏の活動により、徐々に、ジャーナリングの認知や効果が広く知れ渡るようになってきています。
必要なものは、紙とペン(ノートと筆記用具)だけです。
実践ポイントは以下の通りです。
- あるテーマについて決められた時間ずっと書き続ける
- 頭で考えずに手を動かす
- 気をそらせるものがないプライベートな空間で行う
- 脚色しないで事実や気持ちをあるがままに書く
- 誤字や脱字を気にしな
マインドマップという思考の整理方法にも似ている部分もあるように感じますが、実際にやってみると、意外と自分の気持ちの整理に役立つことに気付くはずです。言葉に発さずとも、文字という形で自分の中のもやもやを吐き出す手法として有効な手段であると思えるはずです。
04深く考えすぎないのも一つの自己防衛
漫画家の蛭子能収氏は、その自由奔放さからか、本業よりも不謹慎なタレントというイメージが先行しがちですが、2020年7月、テレビ東京系の「主治医が見つかる診断所」という番組で軽い認知症と診断されました。、2021年4月26日には、著書「認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本」(キャッチフレーズは、これからも「ボケてるオレ」を笑ってください!)が出版されますが、蛭子氏にとってはキャラクターイメージが変わることで、バラエティー番組の出演が減り、認知症関連の取材が増えるなど、悩みの種の一つにもなっているそうです。それでも、ポジティブなのは印税が入るなら、それはそれでいいかと思えるところです。自分より不幸な人を見ると楽しくなるなど、大体のことは「ま、いいか」で解決されるような、ちょっとマイペースなくらいの方が、余計なストレスを溜めずに済むのかも知れませんね。